◆三月がくる度に
アスリッド・リンドグレーン…『長くつしたのピッピ』でおなじみの、スエーデンの作家です。子どもたちが大好きな作品がたくさんあります。
わたしは3月がくる度に、小学校を卒業していく子どもたちに、このお話をしています。子どもたちは先生と一緒にヒザ抱えて、ときには泣いちゃう子もいるくらい、温かくてせつないお話です。
◆育む
子どものころ、何かに夢中になったことはありますか?
何かを懸命に育てたことはありますか?
『育む』ということばが合っているかもしれません。
わたしにとってのドラゴンは何だったのかしら。
あるいは、目の前にいる子どもたちの中には、どんなドラゴンが住んでいるのかしら。
ドラゴンに出会うことがあるかしら。そう思うだけで、胸が熱くなるのです。
すべてはひとつところにとどまらない。人はそれをぼんやりと感じていて、それでも、その永遠を信じて、生きているのかもしれません。
(2003年3月掲載)