語り手・絵本コーディネーター こがようこ がお届けしています
HOME今月読みたくなっちゃった絵本は〜ほ>ぼんさいじいさま
Summer Santa Claus
HOMESummer Santa Clausプロフィールお仕事お仕事活動今月読みたくなっちゃった絵本雑記雑記(ざっくざっく)Koさんち問い合わせ
ぼんさいじいさま

ぼんさいじいさま

今月読みたくなっちゃった絵本 あ〜お今月読みたくなっちゃった絵本 さ〜そ今月読みたくなっちゃった絵本 な〜の今月読みたくなっちゃった絵本 ま〜も今月読みたくなっちゃった絵本 ら〜ろ 今月読みたくなっちゃった絵本 か〜こ今月読みたくなっちゃった絵本 た〜と今月読みたくなっちゃった絵本 は〜ほ今月読みたくなっちゃった絵本 や〜よ今月読みたくなっちゃった絵本 わ〜ん
ビリケン書店
木葉井悦子 さく
 
 

◆しだれ桜の咲くころに
大胆でいて、夏のお日さまみたい、というのが、わたしの中にある木葉井悦子さんの絵本のイメージです。
でも、この絵本は、淡くて、繊細で、優しくて…。
だからこそ、別の力強さで心に迫ってきます。

木葉井悦子さんは、この世にもういらっしゃいません。
この本は20年ぶりに復刊された絵本です。
しだれ桜の咲くころ読んでみてください。

◆老いること 死んでいくこと
ブラリと立ち寄ったトムズボックス(吉祥寺の絵本専門店)で、この絵本を手にとったとき、そのまんま動けなくなってしまいました。
なんだか、泣きたくなってしまった。

人が老いるというのは、どういうことかしら?
死んでいくというのは、どういうことかしら?
「じいさま、きょうのことは、ずーっと前からきまっていました」
「お迎え」にきたひいらぎ少年を、ぼんさいじいさまは素直に迎え入れます。
すぐに迎え入れることができるのは、常にまっすぐ死と向き合っているということですね。

ひいらぎ少年と歩いていくぼんさいじいさまは、土に返るというよりは、自然に溶け込んでいくように見えました。

せつなくって、けれど、温かい風景がそこにあります。

◆◆日々を生きる◆◆
知り合いのおばあちゃんが、あるときわたしに教えてくれました。
「あたしゃね、あと、やっとくことが三つあるからね」
そう言って、お墓の整理、住んでいる家の整理、 実家に預けてあるものの整理、この三つをあげてくれました。
それから、おばあちゃんはサラリと、こう続けたのです。
「最近ボケてきたからね、紙に書いて、鏡の前に貼ってあるの」
確かに貼ってありました。スゴイ!
お迎えがくる前にやっとこうかなって思うことがあって、いつも目の前にかかげてる。
『日々を生きてる』っていう感じが、切々と伝わってくるじゃありませんか。
わたしなんて、老いてく自分にジタバタ抵抗してばかり。
ときを重ねれば、おばあちゃまみたいになれるのかしら。
フト、考えてしまいました。
(2004年10月掲載)

 




Copyright(C)2007 Summer Santa Clsus All Rights Reserved.