◆詩的で、シュール
恐竜の骨を発掘し、組み立て、博物館に展示するまでの過程を描いた絵本。
といっても、固い本でも、説明的な本でもありません。
バイロン・バートンの色使いがシンプルでかつ、とてもきれい。
◆「ほねは ないか、ほねは ないか。ほねを さがしてあるく。」
探検隊が探し歩いた恐竜の骨が、3頁目にして、「あった!」と、でーん、とでてきます。
絵本作りはテンポよく!と、いわれますが、まさにそれ!
絵本を見る目が厳しい、高学年男子だって、「はえ(早い)!」3頁目にして、虜になっちゃうのでした。
◆◆太古のごみ箱◆◆
小学生のころ、幼馴染のユミちゃんと裏山でよく遊びました。
今では怖くって考えられないことですが、道路からちょいと崖をよじのぼれば、いくらでも森が、畑が、山が、まだいたるところに広がっていたのでした。
(もちろん、みつかったら怒られるでしょうけど)
わたしたちは冒険家になったり、おかあさんになったり、いろんなものに姿を変えて、そんな中で遊びました。
あるとき、おかあさんごっこで夕食をつくっていたユミかあさんが、ちょいと地面を掘り返すと、貝がらがひとつでてきました。
「今夜のおかずはしじみのお味噌汁よ」
ユミかあさんが、ついでにまた、ちょいと深めに掘り返すと、ザックザックと、大判小判ならぬ貝殻の山!がでてきたのです。
わたしたちは二人して、もう、夢中で掘りました。
お味噌汁に入れたら一年かかっても食べきれないような貝殻の山。
別の場所を掘り返すと、やっぱり、貝殻の山がでてくる。
わたしよりずっと賢いユミかあさんは、おかあさん業をさっさと廃業、その場で考古学者になったのでした。
子ども役のまんまのわたしが、
「下のお家の人が、貝殻はいつもここに捨ててるのかな」
と、質問すると、考古学者のユミ先生は、
「違う!これは原始人が貝を食べては捨てた太古のゴミ箱だよ。
よう子ちゃん、これは二人っきりの秘密の場所にしよう」
と、断固とした声で言いました。
「うん、二人っきりの秘密だね」
わたしは、秘密ということばが大好きでしたから、うれしくってユミ先生に従いました。
あのまま、探究心を深く持ち続けていたら、あるいはわたしたちのどちらかは、本物の考古学者になっていたかもしれませんが…。
ユミちゃんも、わたしも、おかあさんになりました。