◆冬のまんまん中に読みたくなる本!
その季節がくると読みたくなる絵本というのがありますね。
『きこりとおおかみ』も、冬になると読みたくなる一冊です。冬の入り口じゃなくってまんまん中でね。
暖炉で、すかんぽのスープを作っているきこりの夫婦、モクモクのけむりを出そうと開けた戸口からおおかみが入ってきました。
でも、二人はスープにかかりっきりで気づきません。おおかみもその様子をじーっとみつめます。
やっと気づいた夫婦とおおかみの心の葛藤がなんともおかしいの。
きこりは機転をきかせ、おおかみをおっぱらいます。
「カトリーヌ!こいつに、すかんぽのスープを たっぷり いっぱい ぶっかけておやり!」(本文抜粋)
次の冬、今度は木を切っているきこりのそばに、たくさんのおおかみがやってきてきこりは木の上に逃げますが・・・。
◆きこりとおおかみのぶつかりあい
ドキドキとハラハラ、きこりとおおかみのチエのぶつけ合いにグイグイ惹き込まれます。
でもね、どこか、間が抜けていて、どこかユーモラス。
根底に流れているのは暖かい空気。フランス民話の持つ特徴でしょうか。散々な目に合うおおかみにすら愛情を感じてしまいます。
◆手から手へ
ところで、すかんぽって何かしら?食べてみたいわねえ。
わたしが持っている『きこりとおおかみ』の絵本はペーパーバックです。うしろには誰か知らない男の子の名前が入っている。
先日、どこのフリーマーケットで手に入れたんだったっけと思い出そうとしていたら、最後のページに、カバさんが本をくわえたスタンプを発見。おっ!このスタンプは目白のギャラリー&古書のお店「ポポタム」のものじゃないですか。そうだったそうだった。この絵本は何年か前「ポポタム」さんのイベントで手にいれたのだった。
あの日は閉店ギリギリ間に合うかしらとお店まで走ったんだった・・・。そんな思い出が浮かんできました。自分がどんなふうにその絵本と出合ったのか、思い馳せるのってとても楽しい・・・ね。
そして、こんなふうに人から人へ、絵本が手渡っていくのは、なんだかうれしい。
◆堀内誠一さん
大好きなんです。
グラフィックデザイナー・イラストレーター たくさんの絵本を手がけています。
『ぐるんぱのようちえん』『たろうのおでかけ』(福音館書店)といえばおわかりでしょう。
絵本という世界の中で遊ばせてくれます。物語の舞台となった国々、背景にある空気や生活まで感じさせてくれます。ユーモアと、いきおいを持って!
『パリからの手紙』
堀内さんのパリからの書簡が掲載されています。イラストはもちろんですがハガキ自体が文字も含めグラフィックとなっていてすばらしいの。
宛先も谷川俊太郎さん、石井桃子さん・・・等、興奮しちゃいます。同じ時代をかすめていたのに・・・ぜひお会いしたかったと、ため息がでます。
(2010年1月掲載)
|