◆子守唄をうたってあげる
『みんなのこもりうた』は、1966年に出版された絵本です。
現在は復刻版を手にできます。(2009.5追記)
ページを繰る度、いろんな動物のこどもが寝ている姿がでてきます。
丸くなって、あるいはかあさんに寄り添って…。
あざらしの子も、くまの子も、りすの子もしあわせそうな寝顔です。
でも、こもりうた唄ってもらえるのは、…そう、わたしたち人間のこどもだけなんですね。
◆満ち足りたこどば・穏やかな絵
石井桃子さんの優しく満ち足りたことばと、中谷千代子さんの伸びのびとした穏やかな絵が、静かなときの流れを絵本の中に封じ込めてしまいました。
生まれたてのおかあさんたちに
生まれたばかりのあかちゃんには、絵本なんていりません。
ただ、おかあさんの語りかけがあればそれでいい!とわたしは思っています。
赤ちゃんとおかあさんは、目でお話します。
赤ちゃんは、目でおかあさんに語りかけ、ことばを持っているおかあさんは、目をみながら、赤ちゃんの伝えたいことばまで話している、というわけです。
目を見て語り合うこと、それが大切。
ですから、生まれたばかりのあかちゃんには絵本なんていりません。
でもね、生まれたてのおかあさんのための、絵本があったらいいなと思います。
おかあさんが自分のために読んで、気持ちが安らいで、そして、赤ちゃんに語りかけたくなっちゃうような絵本。
そんな絵本があったら、いいのになあ。
『みんなのこもりうた』はたぶん、数少ないそんな絵本の一冊だと思います。
◆◆生まれたてのかあさんのうた◆◆
今年のお正月、おともだちの家に赤ちゃんが産まれました。
(もちろん、わたしより、ずっとずっと若いおともだちですけど)
彼女がメールで送ってくれるあかちゃんの画像を見るのが、今のわたしのお楽しみ。
生まれたてのおかあさんの新鮮な驚きや、しあわせでいっぱいの気分も、添えられた文面にのって、いっしょに届きます。
まっさらな命っていうのは、なんてステキなんでしょ。
眺めているこちらの方まで、新しい人生をスタートできそうな気分になります。
「こっちの世界はどうですか?楽しいですか?ま新しいピンピンのものだけを揃えて、ここにやってきましたよ、どうぞよろしく!」赤ちゃんは全身で言ってます。
「楽しいですよ。これから、びっくりするようなことがいっぱい待っていますよ。こちらこそ、どうぞよろしく」
なんだか、わたしは改まった気分になって、まだ、実際には会っていない新しい命に、パソコンのこちら側からごあいさつしました。
(2006年1月掲載)
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