◆雨ふりが待ち遠しいお話
モモちゃんはおかあさんにプレゼントをもらいますよ。なんでしょう。
まっかなかさと まっかなながぐつ。
モモちゃんはうれしくてうれしくてうれしくてね。
そんな雨が降るのが待ち遠しいモモちゃんのお話です。
◆いろいろな形に
原作は松谷みよ子さんの『ちいさいモモちゃん』。
紙芝居や、武田美穂さんの絵本でもおなじみです。
わたしは中谷千代子さんのノスタルジックな絵が、このお話の場合は好きです。
◆保育園では
「みんなと同じくらいかなあ、モモちゃんっていう女の子がいてね…、
今日はそのモモちゃんのお話をしますね」
保育園で子どもたちの顔を見ながら、こんなふうにお話として語ってあげることもできます。
◆かわいい歌も
♪あめこんこんふってるもん うそっこだけど ふってるもん・・・♪
雨が降ると無意識についついこのお話にでてくる歌をうたいます。
すると、子どもたちも自然にこの歌が身についちゃって、遊びながら歌っている。
それである日、この絵本を読んであげると、
「ああ、そういうことだったんだ、そういう歌だったんだ」って、お話が心に落ちるのね。
子どもたちがこのお話を体に染み込ませてくれたのがわかります。
そんな形で絵本やお話と出会えるというのは、すごくいい。
わたしの中の理想かな。
◆◆大きくなったのだな、と感じる瞬間◆◆
上の娘が幼稚園に入ったばかりのころ、おばあちゃんが『傘』をプレゼントしてくれました。
そのころ、下の娘は生まれたばかりだったので、雨の日は、もっぱら車での外出でしたが、その日初めて上の娘に雨がっぱ着せて、傘を持たせ、三人で雨降りの街に出たのでした。
わたしは赤ん坊を抱っこしているし、傘をさしてる娘の手をひいてやることはできません。
でも、娘は傘を両手でしっかり握って、ときどき雨や風に翻弄されながらも、トコトコと歩道もない道路の片隅を歩いて行ったのでした。
とてもとても楽しそうに。
前を歩くその娘の姿を見たときに、ああ、この子はわたしのものじゃないんだな、と変な感慨に耽ったのを覚えています。
自分の付属品のように、いつも手をひいていた娘。
でも、その日娘はひとりで雨や風や、すぐ脇を通る車と格闘しながら歩いていた。
子どもが傘をさすってことは、子どもがちゃんと一人で歩けるってことなのですね。
一人前だっていうことです。
(2007年6月掲載)
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