◆絵本『ゆきのひ』
ピーターが雪の中をつま先を外に向けたり中に向けたりして歩く場面、
両足をゆーっくりひきずって、雪道を歩く場面、
とりわけ、
パープルがかった美しいバスタブにつかる場面、
わたしはこれを知っている!と、思うのです。
わたしの体が、
そのときの音や、温度や、感触を、
「知っている!」と、感じるのです。
◆◆あっ、積もってる!◆◆
雪が積もった朝というのは、フトンの中で目覚めたときにもう、不思議な感じがします。
「あっ、積もってるな」というアノ感じ。
いつもと違う冷たい空気がピーンと張り詰め、部屋の中も心なしか明るい。
シャーシャーと雪を掻く音が無意識に入り込んで。
雪が積もっていることを確信すると、学校は大丈夫かしら?雪掻きしなくちゃ、という現実的な心配とは裏腹に、心の芯のあたりがクスクスします。
子どもの頃、雪遊びして家に帰ると、
「お風呂に入りなさい」と、必ず言われた。
帽子、マフラー、靴下、手袋…、たけのこの皮むくみたいに、着込んでいた服次々脱いでく。
ベシャベシャのパンツまで洗濯機に詰め込んで湯船につかる。
ジンジン電気が走ったように少しずつ解凍されて。
それから、お風呂からでると必ずお汁粉が作ってあって…。
最近まで、雪の積もった日には、どこの家でもお風呂を沸かして、お汁粉食べるものだと信じていたわたしです。
(2001年1月掲載)
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